お前はヒステリーを起こすと必ず口癖のように「私"だって"辛いんだよ」と昔言った、けれどわたしは、わたしたちは、"だって"という言葉を使われるほどお前に対して私たち自身のつらさを表明できていた事実なんてなかった 今こうやって大金を平気で私に渡してく…

この六畳間にはたくさんのきらびやかですてきなものがあって、でもそれがわたしを圧迫するように責任の所在を問うてくる。 抱きしめ合える恋人がいるというのに、恋人同士でいていい自信もなくて、すこし離れればすぐに不安になって怖くなって頓服を何錠も飲…

それ大して虐待じゃないよとあなたも言いますか

私の母親は二面性がありました 精神疾患だったから当然と言えば当然なのかもしれません ある日は優しい手紙を書き、美味しい夕飯を作り、普通に生きています ある日は私を叩き蹴り、服を掴んで玄関から放り出し、暴言を1時間吐き続け私が泣き出すと嬉しそう…

輝度

いなくなってしまった友だち 友だち、とよぶものかすらいまやわからない 無い記憶が呼び覚まされる 小雨の降る赤い水面が どんな青よりも海だったこと 繊月が照らすにはありえない光量で 燃えるように光っている きらきらと光っている 顔貌を示すのは記憶だ…

負債だけがあり、そのマイナス値をせめてとゼロに持っていくためだけに費やされる人生。諦めきれないばかりに足掻けば足掻くほど、負債はみるみるうちに増える。 諦めきりたい。もうこれ以上すこしの希望も見出したくない。

歌が歌いたい

歌いたい歌があるのに、わたしの声は揺れて揺れて、それはもう醜く聞こえて仕方ない。描きたい絵があるのに、絵の具の積層は価値を有さないまま過去になっていく。連ねたい言葉があるのに、「あるはずなのに」という思いだけがより強くある。 どれほど涙を垂…

殺してくれよ

揃えた指輪もお気に入りの柄のパジャマも共有し得た愛情さえもぜんぶ機能せず、殺してくれよとあたりかまわず喚き散らしたい時があるって、きっとあなたはわかっていたんだね。 けれどあの日わたしがガラスを蹴り破りながら叫んだことばは「殺して」ではなく…

果実と蝿

例えばあなたが宝石のような果実だったとして、それはいつか腐り果てて変貌するとしても、それに惹かれた蝿が幾つも集ろうとも、あなたが宝石のように煌めいているいっときのことをわたしは尊び、そしてそれに惹かれた蝿がわたし自身であることを強く深く自…

女の子

わたしは強迫観念にとらわれて白い服を着ては脱いでを繰り返し鏡の前から動けなかった日々を通過して、それができればどんなに楽だろう、と思っていた花柄のワンピースを着るという行為がいまやできるようになった。 わたしが何を言っているのかわからないで…

共鳴と切望

言葉の枯渇か、昇華の方向性の変化か、どうとも取れるだろうけれど、噴水のように言葉が湧き上がるような日々はもう送っていない。伝えたい言葉を暗号に変換して綴ってきたこのブログも、更新が滞っているのは、伝えたい言葉とやらはもう伝えたい相手にまっ…

宿痾の花は枯れた

あれだけ頑なに己に被せた蓋を開けようとしなかった日々は過ぎ去り、いま、宿痾の花の蕾が開こうとも、わたしはその花が飛ばす花粉をそのままに漂わせて生きている。 生きられている。 誰にもこの花の存在自体を見せずに死ぬんだと思っていた、そういう生き…

並行の線

隣で眠る貴方を見ていた。なぜわたしの前でそんなに安らかに眠れるのかわからなくて、その瞑られた瞳の綺麗な並行の線を見ていた。 誰もわたしをわたしの望むように抱擁できやしないだなんて、なぜあれほどまで自己の何かを守るように思い続けていたのかわか…

かつて

かつて憧憬だったあの冬へ、かつて切望だったあの人へ、かつて共鳴したあの確信へ、 濁りを増して、消えるのではなく覆い隠すよう。わたしの切望は形を変えて、いまも胸元で蟠ってる。その蟠りだけがかつてと何も変わらない苦しさをわたしに与え、その苦しさ…

導火線、共鳴

導火線を編む、編む、編む、編む、編み続けて続けて続けて気が狂いそうになっても編んで編んで編んで編んでまだ足りない。既に編んだ部分をちぎられてまたふりだしへ、そんな落胆ばかり。 考えてきたことが価値を持たないなら、苦しんだことが反動にならない…

恋とは箱庭で、互いの安寧や切望を持ち寄っては琴線を握るような空間をつくる。すべての関係においてうまく深くまでいきたい、と思っている。うまくいったとしても、死という前提的な破綻があり、ならばどんなにうまくいっても破綻のない関係性を手に入れら…

mirror

首もとのほくろをわたしたちの銀河と名付けたら、重い髪揺らして重い空気巡らせて重い感情で絡み合おう。突拍子もないあなたはユーモアそのものでとってもチャーミング。わたしを攫った高波のきみ、きみがこの世にいてよかった。わたしが怪獣のようにきみの…

幸福

しあわせという漠然たる言葉を微塵切りにして現れた形を万華鏡にかざす。言葉の研磨がしあわせになるための一歩となり、覗いた先の模様を倣う、見えてしまえば簡単なこと。わたしの幸せはなに?夢、箱庭、定点、切望?夢は何?夢はあなた。定点は何?定点は…

冬の日

あなたを差し置いて幸せになんてなりたくないね、心の中はいつも冬の日。雪の代わりに思い出が降る、付かず離れずのまま終わる日々。 わたしは16歳で外に出た日から変わらない場所から世界に視線を向けていて、病質や観念も変わらず携えていて、けれど変わっ…

切望も汚れて掌にはなにもない。カップラーメンを雑に啜ってひび割れたからだを携える。拒んできた理由は保身を極めたからで、それはあまりにもつまらない。だからそんなつまらない事やめたいのに、どんなに好きだった相手もこの手で裾を掴めやしなかった。…

あなたは間違っている、わたしはわかっている、それをいえた試しがないいままで。蓄積した憂いや苛立ちが山となり、火をつけられるのを待っている。あなたのせいで身体に傷がついた、あなたのせいで心を患った、それでもその咎を負うのはわたしだけ。理解に…

merry

夏は嫌い、悪夢を見るから。悪夢にあなたは決して出てこない、そういう救い。夢のように抱きしめるここは夢、起きたいという望みは容易く叶うのに起きたくないという望みは叶わないね。夢のような夢じゃない日々が確かにあった、溺れるのは泥濘でなく共鳴で…

朱に交われば赤くなると言った通り、醜悪と交わって醜悪な選択肢を得たわたしは自分を殺す理由を増やし、眼鏡を外せば誰の顔も判別つかないような瞳が現れることを喜びながら街を歩く、最低な日々。この身を装飾する美の権化たちが飾り立ての意味を持ちわた…

ジルコニア

銀河の奔流より一粒のキュービックジルコニアを頂戴、私がかけてほしい言葉はそんなんじゃない。この頭上には何にもない。一体全体どんな形になればそれが手に入るの?わたしとあなたが個々を喪失したらそれはグロテスクな流体に終わる。とどのつまり未来な…

抱擁の渦中

夢そのものかもしれない曖昧な記憶の中の夢のような言葉、共鳴に溺れた切実な日々、また対照的に瞳で捉えて口角を上げた仄明かりを手に取りあった日々、もう手元には何もないそのひとつひとつを大切に抱えて今日も枕に頭を置く。あの共鳴を体験したくて、過…

箱庭

箱庭の渦中にいたいから夢を愛している。雨音が心地良さを助長して、定点からの抱擁や庇護を身をもって感じられる。わたしのいとしい箱庭。定点に羽化する価値のないどんなうつつも捨て去って、永遠に繋がって踊っていようよ。ねえ。愛していたんじゃない、…

しろたえのきみ

きみというひかりがどんな篝火も跳ね除けるためのラビットフットのように、このからだなどいくらでも切り落としてもかまわないと思うぼくは、きみを愛していると何度でも言おう。 サイテーな値から始まったぼくという個体に、灯台のまわる燈を追うこのまなこ…

わたしはあなたに間違えて笑いかけた。それはどうにも操縦しきれない外殻だった。夜の深きに落ちる誘いをあなたは丁寧に受け止めて、汚い地下道をふたりで歩いた。あなたはわたしをタクシー乗り場まで送り、はじめてひとりで乗ったタクシーの車内で振り返り…

喉元

かの日の恍惚掘り返して親指滑らせ綴る液晶に並ぶ文字達を思えど確かな記憶などどこにもなく延命措置を行う様に膨らます虚像だけが私の安寧私の愛 寂寞に映る激情も琴線を握る共鳴もここにはなく2錠の薬が廻る体内で血流は昇るのをたびたび辞め眩む間に感じ…

星は降るもの手は繋ぐもの

高校生のとき古着屋で買って壁に飾っていたピンクのワンピースをようやく着る気になった20歳。昨日の夜はピンクの花柄ワンピを2着ポチッた。いまのところ歳をとるほどピンクへの抵抗がなくなっていく、わたしのラブリーの雛形よ。だとしたら容姿を制服に征服…

remain

おもかげを目で追うわたしのように残留するわたしと目を合わす夜があなたにもあるだろうか。切望を描いた二年前、雛形を描いた一年前、パッチワークの繋がりを描くいま、こうして新しい繋がりに流れてゆく。どうせこれからも。ピンク色だけじゃもう足りない…