merry

夏は嫌い、悪夢を見るから。悪夢にあなたは決して出てこない、そういう救い。夢のように抱きしめるここは夢、起きたいという望みは容易く叶うのに起きたくないという望みは叶わないね。夢のような夢じゃない日々が確かにあった、溺れるのは泥濘でなく共鳴で、抱くのは絶望でなく切望であった、眩しすぎる程に光る思い出のフラクタルが毎夜わたしを苛むのだ。その日々に戻りたいなんて思わずとも再体験したいと常々思っていて、だからわたしはばかみたいに何度も髪を伸ばす。なりたい自分が過去にある、そんな頭打ちな望み抱きたくはないのに、愛してることはとても気分がいいから。わたしたちが出逢えていなくても、わたしは一方的な発見が叶って幸せだった。好意の相互確信だなんて、起きても何も始められないわたしたちね。燻ったまま見えないところまで来てしまったら、その時はメリーバッドエンドとでも呼んで。