いなくなってしまった友だち
友だち、とよぶものかすらいまやわからない
無い記憶が呼び覚まされる
小雨の降る赤い水面が
どんな青よりも海だったこと
繊月が照らすにはありえない光量で
燃えるように光っている
きらきらと光っている
顔貌を示すのは記憶だけ、だけど
その記憶がまったくないんだ
それでもその手を握り続けるのは
席を譲ったあとの行き場を与え続けたいから
手を握り続けないと
散り落ちて変色してやがて腐りゆく
それでもひとつの生のかたちだったね、なんて
めでたく消費されるいのちのひとつに
なってほしくないんだよ!!!!!!