2023-01-01から1年間の記事一覧

負債だけがあり、そのマイナス値をせめてとゼロに持っていくためだけに費やされる人生。諦めきれないばかりに足掻けば足掻くほど、負債はみるみるうちに増える。 諦めきりたい。もうこれ以上すこしの希望も見出したくない。

歌が歌いたい

歌いたい歌があるのに、わたしの声は揺れて揺れて、それはもう醜く聞こえて仕方ない。描きたい絵があるのに、絵の具の積層は価値を有さないまま過去になっていく。連ねたい言葉があるのに、「あるはずなのに」という思いだけがより強くある。 どれほど涙を垂…

殺してくれよ

揃えた指輪もお気に入りの柄のパジャマも共有し得た愛情さえもぜんぶ機能せず、殺してくれよとあたりかまわず喚き散らしたい時があるって、きっとあなたはわかっていたんだね。 けれどあの日わたしがガラスを蹴り破りながら叫んだことばは「殺して」ではなく…

果実と蝿

例えばあなたが宝石のような果実だったとして、それはいつか腐り果てて変貌するとしても、それに惹かれた蝿が幾つも集ろうとも、あなたが宝石のように煌めいているいっときのことをわたしは尊び、そしてそれに惹かれた蝿がわたし自身であることを強く深く自…

女の子

わたしは強迫観念にとらわれて白い服を着ては脱いでを繰り返し鏡の前から動けなかった日々を通過して、それができればどんなに楽だろう、と思っていた花柄のワンピースを着るという行為がいまやできるようになった。 わたしが何を言っているのかわからないで…

共鳴と切望

言葉の枯渇か、昇華の方向性の変化か、どうとも取れるだろうけれど、噴水のように言葉が湧き上がるような日々はもう送っていない。伝えたい言葉を暗号に変換して綴ってきたこのブログも、更新が滞っているのは、伝えたい言葉とやらはもう伝えたい相手にまっ…

宿痾の花は枯れた

あれだけ頑なに己に被せた蓋を開けようとしなかった日々は過ぎ去り、いま、宿痾の花の蕾が開こうとも、わたしはその花が飛ばす花粉をそのままに漂わせて生きている。 生きられている。 誰にもこの花の存在自体を見せずに死ぬんだと思っていた、そういう生き…