2021-01-01から1年間の記事一覧

切望も汚れて掌にはなにもない。カップラーメンを雑に啜ってひび割れたからだを携える。拒んできた理由は保身を極めたからで、それはあまりにもつまらない。だからそんなつまらない事やめたいのに、どんなに好きだった相手もこの手で裾を掴めやしなかった。…

あなたは間違っている、わたしはわかっている、それをいえた試しがないいままで。蓄積した憂いや苛立ちが山となり、火をつけられるのを待っている。あなたのせいで身体に傷がついた、あなたのせいで心を患った、それでもその咎を負うのはわたしだけ。理解に…

merry

夏は嫌い、悪夢を見るから。悪夢にあなたは決して出てこない、そういう救い。夢のように抱きしめるここは夢、起きたいという望みは容易く叶うのに起きたくないという望みは叶わないね。夢のような夢じゃない日々が確かにあった、溺れるのは泥濘でなく共鳴で…

朱に交われば赤くなると言った通り、醜悪と交わって醜悪な選択肢を得たわたしは自分を殺す理由を増やし、眼鏡を外せば誰の顔も判別つかないような瞳が現れることを喜びながら街を歩く、最低な日々。この身を装飾する美の権化たちが飾り立ての意味を持ちわた…

ジルコニア

銀河の奔流より一粒のキュービックジルコニアを頂戴、私がかけてほしい言葉はそんなんじゃない。この頭上には何にもない。一体全体どんな形になればそれが手に入るの?わたしとあなたが個々を喪失したらそれはグロテスクな流体に終わる。とどのつまり未来な…

抱擁の渦中

夢そのものかもしれない曖昧な記憶の中の夢のような言葉、共鳴に溺れた切実な日々、また対照的に瞳で捉えて口角を上げた仄明かりを手に取りあった日々、もう手元には何もないそのひとつひとつを大切に抱えて今日も枕に頭を置く。あの共鳴を体験したくて、過…

箱庭

箱庭の渦中にいたいから夢を愛している。雨音が心地良さを助長して、定点からの抱擁や庇護を身をもって感じられる。わたしのいとしい箱庭。定点に羽化する価値のないどんなうつつも捨て去って、永遠に繋がって踊っていようよ。ねえ。愛していたんじゃない、…

しろたえのきみ

きみというひかりがどんな篝火も跳ね除けるためのラビットフットのように、このからだなどいくらでも切り落としてもかまわないと思うぼくは、きみを愛していると何度でも言おう。 サイテーな値から始まったぼくという個体に、灯台のまわる燈を追うこのまなこ…

わたしはあなたに間違えて笑いかけた。それはどうにも操縦しきれない外殻だった。夜の深きに落ちる誘いをあなたは丁寧に受け止めて、汚い地下道をふたりで歩いた。あなたはわたしをタクシー乗り場まで送り、はじめてひとりで乗ったタクシーの車内で振り返り…

喉元

かの日の恍惚掘り返して親指滑らせ綴る液晶に並ぶ文字達を思えど確かな記憶などどこにもなく延命措置を行う様に膨らます虚像だけが私の安寧私の愛 寂寞に映る激情も琴線を握る共鳴もここにはなく2錠の薬が廻る体内で血流は昇るのをたびたび辞め眩む間に感じ…

星は降るもの手は繋ぐもの

高校生のとき古着屋で買って壁に飾っていたピンクのワンピースをようやく着る気になった20歳。昨日の夜はピンクの花柄ワンピを2着ポチッた。いまのところ歳をとるほどピンクへの抵抗がなくなっていく、わたしのラブリーの雛形よ。だとしたら容姿を制服に征服…

remain

おもかげを目で追うわたしのように残留するわたしと目を合わす夜があなたにもあるだろうか。切望を描いた二年前、雛形を描いた一年前、パッチワークの繋がりを描くいま、こうして新しい繋がりに流れてゆく。どうせこれからも。ピンク色だけじゃもう足りない…

咲いたバルコニー

わたしはホワイトアウトを歩く 眩しさはつらぬく はためいたワンピースは バルコニーから落ちる かつて繋いだ小指で おぼつかずとも花道を敷く 春を添えてうたを詩えば 果実の虹彩が眼差している はためいたワンピースは バルコニーから落ちる それを散ると…