箱庭

箱庭の渦中にいたいから夢を愛している。雨音が心地良さを助長して、定点からの抱擁や庇護を身をもって感じられる。わたしのいとしい箱庭。定点に羽化する価値のないどんなうつつも捨て去って、永遠に繋がって踊っていようよ。ねえ。愛していたんじゃない、愛しているのだ。そのことがうつつへの救いをなくしてゆく。それでも、なにもないよりはいいのだ。枕の羽毛に頬擦って、化学繊維の毛布を張って、この箱庭にあたたかい風を吹かせて。