2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

Stay close

きみは吹雪だ。そしてぼくはその中心にテントを張る。声を返す、瞳で捉える、それすらままならないホワイトアウトの中で、シグナルみたいに光る太陽とずっと目をあわせていたかったの、いまも。

灯火

蝋に浸からないぼくたちに点いた火が煌々と燃え続けられるわけがない。ひとときの灯火を導火線まで運び雑な花火でも打ちあげるべきだったのだろう。スターターピストルの音もゴールテープの座標も与えてくれる者はおらず、形骸化した輪郭で形骸化した憧憬を…

his canvas

夏が終わらない。夕刻の曇天を綺麗だと思うことが増えた。あの淀んだ青は敬愛なる彼らに似ている。入り組む電線の遠く向こうに細い月が添えられていたら完璧だ。完璧に、彼のキャンバスだ。 ふたりを隔てる屈託の澱を映す鏡。それが、彼のキャンバス。