わたしはあなたに間違えて笑いかけた。それはどうにも操縦しきれない外殻だった。夜の深きに落ちる誘いをあなたは丁寧に受け止めて、汚い地下道をふたりで歩いた。あなたはわたしをタクシー乗り場まで送り、はじめてひとりで乗ったタクシーの車内で振り返りあなたに手を振ると、あなたはこちらを見ず酷く動揺した顔で俯いていた。それからわたしはあなたに微笑み、微笑みながら見つめ合い、あなたはわたしを守った。いつしか間違いは探しても見つからなくなり、あなたはわたしの夢に出るようになった。けれどどうにも噛み合わないと思うことがあった。それは結末を知っての事だったのだろうか。わたしたちには不足があった。あなた一人の肯定だけじゃわたしという腐敗の蓋にならなかった。

そうしてわたしは自分を殺す理由を増やした。

 

ごめん。ごめん。

本当にごめん。

守ってくれてありがとう。ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。ごめん。