八月

夢の中にさえ屈託が押し寄せるようになった。四月の夢日記には「延命処置を施すように膨らませ続けた虚像」とあのひとについてのもっともな形容が記されていた。夢は孤独を食べて彩られる。勝手に虚像として生かされて、果てには虚像だからという理由でハンマーを振り下ろされる、そんな身勝手な扱いをただ詫びたい。

 

優しい場所でありたいと思うことに反し、無害ではいられないのだと口を開く度に痛感した。そもそもわたしは優しさとはどのような状態を指すものなのかを分かっていない。眼前には実体のある彼ら。わたしに陥るばかりの彼ら。或いは、陥らせるばかりのわたし。餌を乞う魚の世話に成り下がるのなら、わたしはなにも要らない。

 

もう夏も終わる。